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五月五日 こどもの日

というわけで(どんなわけだ)宣言していたとおり子供の日小説です。
これから思いついたネタをこつこつ小説にいけたらなあと思います。
でも、基本のたのたですので、生あたたか~く見守っててくださいな。
では、楽しんでいただけたらよかとです。

西暦2308年、宇宙空間。
私設武装組織CBには、半年に一度、精密検査がある。
秘密ドッグのスタッフ、プトレマイオスの各クルーはもちろん、戦力の要であり組織の象徴、
MSガンダムを操るガンダムマイスターたちは、特に念入りな検査を行うことになっている。
精密な検査を行うことは、これすなわち今後のミッションを確実に遂行することにも繋がる。
必要な要素は多々あるが、ガンダムマイスターはなによりも、「身体が資本」なのだ。
そしてこの精密検査、医療系の検査と同時に、健康診断も兼ねている。
すなわち「体重測定」、そして「身長測定」だ。


  【彼の助言と4年の時間】


医療着から私服に着替えた刹那は診断結果の送られてきた端末の画面を見るないなや、
いつもの赤いターバンを首に巻きかけたまま、愕然と固まってしまった。
命に関わるような重大な疾患が見つかったわけではない。いたって健康そのものだ。
健康面は、問題ない。刹那が固まった原因は、そこではなかった。
「…そんな…」
嘘だ、と呟く。
信じられない。信じたくない。自分の目に映る「ある数字」を容認できない。
微動だにしない刹那に、呑気な声がかけられる。ロックオンだ。
「おーい刹那、どうだった?」
しかし刹那は応えない。端末の画面を凝視したまま、動けずにいる。
「どうした? なにかあったのか?」
首をひねったロックオンが刹那の傍により、手の中の端末をのぞき込む。表示されたデータを
ざっと流し見し、ややあって、刹那が固まった原因をさらりと口にした。
「おいおい、お前さん成長期のくせして、なんで半年前から伸びてないんだ?」

『身長/162㎝』
前回計ったときから、1㎜たりとも背が伸びていない。
それが、刹那が信じたくなかった診断結果だ。
重苦しい黒雲を背中に背負い、失意の少年は食堂の片隅で、もそもそと食事を取っていた。
「あー…刹那…、そんなに落ち込むなよ…」
せっかくのメシがまずくなるだろー。
向かいの席に座り引きつった苦笑を浮かべるロックオンの声も、しかし刹那には届かない。
どうしてだ…。
自分はまだ16で、伸びる可能性は十分あったはずだ。なのになぜ伸びていない?
この組織に来てから約3年。その3年の間に、刹那の身長は6㎝ほど伸びた。以前はスメラギ
より劣っていた背丈が、今は彼女に近い。
まさか、それで打ち止めになってしまったのだろうか? 思わず食事の手が止まる。
もしそうなら…俺は…俺は…!
嫌な想像が駆け巡り、背中の黒雲がさらに黒くなる。今にも雨が降り出しそうだ。
「…刹那…メシ、冷めるぞ…?」
ロックオンの気遣うような言葉も、しかし今の刹那を浮上させることはできない。むしろ刹那を
いらだたせるだけだった。
他のマイスターたちは、皆そろいも揃って刹那と10㎝以上の差をつけている。
ロックオンの身長は185㎝。成人男性のため数年前に成長は止まったが、刹那とは23㎝差。
アレルヤは186㎝で24㎝差、ティエリアは177㎝で15㎝差。
そんなに背の高いお前たちに、俺の気持ちなんかわかるもんか…!!
歯を食いしばり、手の中のフォークをぎりぎりと握り締める。
その時、見かねて再び声をかけたロックオンの言葉に、刹那は耳を疑った。
「気にすんなって刹那。俺だって、お前くらいのころはチビだったんだぜ?」
「……なに?」
刹那が顔を上げる。とうに食事を終え、テーブルに頬杖をついたロックオンの満面の笑顔が
視界に飛び込んできた。
「聞こえなかったか? 俺もな、昔はそりゃあちっちゃくて、よく周りからからかわれたもんさ」
「…嘘だ」
呆然と呟く。あのロックオンが、見上げなければ顔が見えないロックオンが、小さかった?
「信じられないか?」
信じられない。というか、信じられるほうがおかしい。
そう言うと、しかしCB屈指のスナイパーは屈託泣く笑う。
「はは、そっか。でもな、これは本当だ。それこそ、お前並に小さかったんだぜ」
ぽかんと口を半開きにしたまま、刹那は目の前の男を見つめた。
小さかった? しかも俺並に? この男が?
普通に考えれば、刹那をなだめるためについた大ボラだろう。だが…
だがもしも、その言葉が本当なら―――
「……なら…」
「ん?」
首を傾げて問い返され、呟きにも似た小さな問いかけをもう一度繰り返す。
誰かに聞くのはなさけないような気もするが、もうこうなったらなりふり構っていられない。
刹那の成長の鍵はおそらく、ロックオン・ストラトスが握っているのだから。
「…本当に背が小さかったなら…ならなぜお前は、そんなにも成長した?」
赤褐色の双眸に宿る真剣な光を見つめ、ロックオンはにっと口端を吊り上げた。
「わかった。俺の実体験をふまえて、お前にアドバイスしてやるよ」
こくりとひとつ頷き、刹那はとりあえず食事を食べきる。そうして空になったトレーを横にずらし
話を聞くために居住まいを正した。


ロックオンがくれたアドバイスは、全部で三つ。
「いいか、まずはジャンクフードの食生活を改善しろ!」
お前さん、東京にいるときって1週間で半分以上はジャンクフードだろ? ばれてんだからな。
それだと栄養偏るから、成長のために必要な栄養全然とれないぞ。
第一お前、モレノさんから栄養不足による成長不良って診断されたんだろ?
だったらなおさらしっかりしたもの食わなきゃじゃねーか!
別に金輪際食うな、とは言わない。ただせめて、そういったものは周一昼飯のみとかにして、
きちんと自分でつくったもの食うとか、しっかりしたレストラン探すとかにしてみろよ。
それだけでもずいぶん違うぜ。料理はわりかし得意だろ? アレルヤに教わってもいいしな。
「次に、過度なトレーニングもやめとけ。むしろ逆効果だ!」
まだ身体ができあがってないのに必要以上に筋肉つけすぎると、逆に成長の妨げになる。
まあ、アレルヤみたいな奴もなかにはいるけど…あいつはいろいろありすぎたからな、特例だ。
身体が小さいからでかくなりたくてやってたんだろうが、そういう筋トレはバランスが大切だ。
食事と同じだな。身体動かしたり体力つけたいなら、筋トレじゃなくてせめてランニングにしろ。
いいな、ミス・スメラギとヴェーダから出された以上のトレーニングはやるな。
やってもせいぜい腹筋の回数を10回プラスするとか、その程度にしておけ。
「それとあとは…やっぱアレだな。ミルクを飲め!」
一番有名で基本中の基本だな。カルシウムだけじゃなく、けっこういろんな栄養が入ってる。
ジャンクフードばっかのお前にはそういったものが必要だ。
もちろんできる限りでいい。ミッションとかもあるからな。でも飲めるなら、最低でも一日一杯。
できるなら朝昼夕で一杯ずつ。飲んでおいて損はないぞ!

それから刹那は、彼のくれたアドバイスをできる範囲で守った。
東京にいるときも隣人のくれる和食をありがたく受け取らせてもらった。
彼を失い、組織から離れ、ひとり世界を旅したときも、ひたすらに。

ロックオン――ニール・ディランディのくれた言葉を信じて。


そして、4年の歳月が流れた。


嫌な予感はしていた。
アレルヤを救出したときから。いや、ティエリアと再会したときから。
「…………………っ!」
していたが、しかし信じたくなかった。
反政府勢力収監施設からアレルヤを救出した翌日。収監されていたアレルヤのメディカル
チェックのついでに、4年間消息不明だった刹那、新メンバーであるライル・ディランディの
精密検査が行われた。
検査結果の送られてきた携帯端末の画面を凝視したままぷるぷると肩を震わせる制服姿の
刹那に、いったい何事かとティエリアが声をかける。
「刹那、どうかしたのか?」
しかし、刹那は応えない。無言で端末の画面を凝視する。
あれから4年半と少し。16歳だった刹那は21歳になった。
彼の教えをひた守り、組織から離れていた間に、身長は自覚できるほどに伸びた。
確かに、伸びはしたのだ。したのだがしかし。

『身長/175㎝』

どういうことだ。
ロックオン、いやニール。お前の話と違うじゃないか。
あの言葉は嘘だったのか、それともなにか、個人差があるとでもいうのか?
衝撃の震えから、徐々に怒りの震えが刹那の身体を支配していく。そこに、いつのまに検査を
終えて来たのだろうか、緑の制服、ライルが横から怪訝そうに刹那の端末をのぞき込む。
表示されたデータをざっと流し見し、そして小さく吹き出した。
「あんた、見た目よりちっちゃかったんだな」
いやー、案外服装とかでごまかせるんだなぁ。
ぎっと、刹那は思いっきりライルを睨む。赤褐色の苛烈な光に、ライルは思わず後ずさった。
「こえー…」と本気で呟くライルを無視し、再び端末に視線を落とす。

『きちんとした食事をとる。トレーニングはやりすぎない。そしてミルクを飲む!
この三つをきちんと守れば、お前が二十歳になるころにはティエリアぐらい簡単に追い抜かして
俺やアレルヤ並にでかくなれるさ!』

でかくなれなかったじゃないか!! ティエリアより2㎝負けてるんだぞ!!
彼のあの日の言葉を信じて、がんばったのにこの結果。
「……ニール・ディランディ……!」
よくも騙してくれたな。
覚悟しておけ。いつか俺がそっちへ行ったら…

お前の顔を容赦なく殴ってやる!!



柱の傷は 一昨年の
五月五日の 背比べ






あとがき
刹那が別人になってます…( ̄▽ ̄;)
背が低いのひそかに気にしてたら面白いかなあと…

2009/05/05 21:16 |おりだぶ小説COMMENT(0)TRACKBACK(0)  

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