スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

--/--/-- --:-- |スポンサー広告  

トリック・オア・トリート!~ミレイナに振りまわされる彼ら~ そのに

ハロウィン小話2話目。今日のターゲットはマイスターの誰か…と見せかけて、沙慈です。

6話目が進みません…!





―ターゲット2 沙慈・クロスロード―


プトレマイオス2第2格納庫。
赤ハロに端末をつないだ沙慈は目の前のガンダムを見上げ、重いため息をついた。
現在沙慈はセラヴィーガンダムの整備を終え、セラヴィーのバックパックとなっている
セラフィムガンダムの駆動系のチェックを行っている。ちなみにセラフィムの整備が終わり次第、
次はケルディムガンダムの整備に取り掛かる予定だ。
手元の端末を操作する手を止め、沙慈はぼんやりと考える。
(こうして見上げてると、ぱっと見じゃあもう一機ガンダムが搭載されてるようには見えないよなあ…)
整備用のデータを貰った時には驚いたものだ。まさかあの肩の砲身を含むバックパックすべてが、
よもや変形してガンダムになろうとは思いもしなかった。
一体こんな、無茶苦茶ともいえる変形機構を備えたガンダムを開発したのは誰なんだろう。
それ以前に、どうしてそんな発想が出てきたのだろう。いや、バックパックをガンダムにする必要が
本当にあったのだろうか。
というか、そもそもなぜあのティエリアという人にだけガンダムが二機もあてがわれているのだろう。
(この、セラフィムって機体…なんか特別なシステムでもあるのかなあ…?)
うんうん唸って思考を巡らせた後、考えてもしょうがないか、と沙慈は端末に目を落とした。
セラフィムのシステムよりも、今は考えることがある。
「あれ…どうしよう…」
『アレッテ? 沙慈、アレッテ?』
沙慈の呟きを聞き逃さなかった赤ハロが、耳をぱたつかせながら首をかしげるようなしぐさをする。
「ほら、あれだよ。昨日食堂のキッチンで、勢いのままに作った…」
「おやあ? マイスターさんじゃなくて、クロスロードさんを発見したです」
ふと投げかけられた明るい声に振り返る。格納庫のキャットウォークをこちらに歩いてくるのは、
ツインテールを縦ロールにした、敏腕メカニック・イアンの一人娘、ミレイナ。
この時間はブリッジにいたはずなのだが、どうしたのだろう。父親に用事だろうか。
「どうしたの? イアンさんなら、第1格納庫でツインドライヴシステムを調整してるよ」
「いえ、パパじゃなくて、マイスターさんの誰かに会いに来たですが…誰か来てないですか?」
「え、マイスターの誰かって…」
問われた沙慈は、今日の記憶を反芻する。「マイスターの誰か」。通路ですれ違ったり食堂で
たまたま一緒になったりと、とりあえず顔だけは4人ともと合わせている。会話はともかく。
(一番最後だと…)
確か、数時間前にアリオスガンダムの整備で、アレルヤと一緒になった。それが最後のはずだ。
どんよりとひどく落ち込んで、暗い表情でもくもくと手を動かしていたあの鬱々とした背中がなんだか
小さく、かわいそうに見えたのをはっきりと覚えている。
そのことをミレイナに伝えると、彼女は「そうですか…」と何やら思案する。
10秒ほどたったのち、ミレイナはおもむろに顔をあげ、自分よりずっと長身の沙慈を見上げた。

「クロスロードさん、トリック・オア・トリートです!」

「…………え?」
「ですから、今日はハロウィンです! なので、トリック・オア・トリートです! お菓子をくれなきゃ
いたずらですよ!」
何を言われたのかわからずあっけにとられた沙慈にミレイナがまくしたてる。そこでようやく、沙慈は
今日が何の日かを思い出した。
「え、あ…ああ、そうか、今日はハロウィンか」
そんな言葉、言われたのはいつ振りだろうか。
高校生だった頃、この時期になるとショッピングモールはあちこちがハロウィン仕様になっていて。
日本ではそれほどポピュラーではなかったのだが、AEU出身のルイスは「お菓子をくれなきゃ
いたずら」だと、楽しそうに笑っていて……
「クロスロードさん? どうかしたですか?」
はっと我に返る。しまった、ミレイナがいるというのに、楽しかったころの思い出に浸りかけてしまった。
慌ててなんでもないと返すと、「よかったです~」とほっとしたような笑顔が返ってきた。つられて、
沙慈も笑みがこぼれる。
さて、どうしようか。あいにくと手元には何もない。というか、そもそもこの艦には身一つ同然で来て
しまっているので、部屋に行っても何もない。
ここは諦めて男らしく、潔くいたずらされるべきだろうか。
「ちなみに『いたずら』って、どんなことするの?」
「ミレイナ秘蔵のヘアアクセサリーでおしゃれした画像を、トレミーのみんなに見せて回るです!」
明るい返答に、瞬間、沙慈は固まった。
「………………………………………………………………………はい?」
「これがブリッジで撮ったノリエガさんのいたずら画像です」
CBで支給されているという端末に表示された画像に映っているのは、なんとも楽しそうなミレイナと、
この艦の艦長を兼任している戦術予報士――――長い髪を見事にいじられ、困ったように苦笑して。
前言撤回。このいたずらだけは絶対に回避しなければ。
「トレミーのみんなに見せて回る」ということは、沙慈のことをよく思っていない(と思われる)ティエリア
やラッセ、ついでに刹那にまで見られるということだ。彼らにこんな醜態を晒すわけにはいかない。
とくに刹那。彼にこれ以上の弱みは見せたくない。なかば意地のようにもなっているが。
どうする、どうする。
「クロスロードさん、なにもないですかあ?」
だったらいたずらですよ~。
楽しそうなミレイナに内心慄きながら、必死に何かないかを考える。
ふと視線を下げたところで、赤ハロと目が合う。
次の赤ハロの一言が、沙慈を救うことになった。
『沙慈、沙慈! 食堂ノプリン! 食堂ノプリン!』
「………あ!」
沙慈の脳の歯車がかみ合い、一気に回り始めた。そうか、その手があった!
「ミレイナ、食堂の冷蔵庫に、この船に乗ってる人たち全員分のかぼちゃプリンがあるんだ! それ、
僕の分は君が食べていいよ!」
「かぼちゃプリン、ですか!? なんでそんなのがあるですか!?」
「いや…実は昨日、時間ができてヒマになったんで、なんとなく食堂の冷蔵庫開けてみたらさ…」
巨大なかぼちゃが半分、いきなり目に飛び込んできたのだ。艦の外にも出れず少し鬱憤が溜まって
いた沙慈は、そのかぼちゃに鬱憤のすべてをぶつけ、結果、なぜかかぼちゃプリンが出来上がって
しまった、ということだ。
「かぼちゃは大きいし、硬いから、ストレス解消にはなったんだけど、今度はそのプリンをどうしようか
悩んでて…船の中を回るなら、ほかの人たちに、冷蔵庫のプリン一人ひとつずつどうぞって、
言っといてくれない?」
「了解です!」
敬礼のように右手を額に当てたミレイナの快諾の返答に、沙慈は心底ほっとした。


「それでは、冷蔵庫のかぼちゃプリンはおいしくいただくです!」
ハッピー・ハロウィンですぅ~と、格納庫を出ていくミレイナの声がフェードアウトする。
完全に聞こえなくなったところで、沙慈は、赤ハロを思い切り抱きしめ、泣いた。
「助かったよハロ、ありがと、ほんとにありがとぉ~!!」
『沙慈、苦シイ、苦シイ』

2009/10/27 21:30 |おりだぶ小説COMMENT(0)TRACKBACK(0)  

コメント

コメントの投稿



管理者にだけ表示を許可する

 | BLOG TOP | 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。