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トリック・オア・トリート!~ミレイナに振りまわされる彼ら~ そのさん

3話目です。

厄日だ…明日仕事行きたくない…





―ターゲット3 アレルヤ・ハプティズム―


アレルヤは艦内にいくつか設けられている展望室のひとつで、暗い表情で項垂れてベンチに
腰掛けていた。
「はあ…」
これで、今日のため息は何回目だろう。もう数えるのも嫌になっている。
今現在彼が頭を悩ませているのは、マリー・パーファシー…もとい、彼女の第2人格、ソーマピーリス
のことだ。
あの「ブレイクピラー」から3カ月と少し。何度話をしようとしても彼女は耳を傾けてくれず、今日もまた
GNアーチャーのシミュレーションを行っている。
彼女を戦いに出さないと決めたのに…彼女の恩人であるスミルノフ大佐ともそう約束したのに…。
「僕は、どうしたら…」
「あーっ、ハプティズムさんこんなところにいたですかあ!」
「ぅわっ!?」
驚いたアレルヤは弾かれたように顔をあげ、ドアのところに立つ突然の声の主と顔を合わせる。
「み、ミレイナ…?」
「はいですう」
にっこりと笑ったツインテールのオペレーターは、そのまま展望室に入ってきた。彼女の後ろでドアが
閉まる。
「ど…どうしたの? なにか用事かな」
年長者の自分が暗い顔を見せるわけにはいかないと、勤めて笑顔を作る。うまくできただろうか。
するとミレイナはますますにっこりと笑い、掌を上にすっと右手を差し出した。

「ハプティズムさん、トリック・オア・トリートです!」

「…え?」
「今日はハロウィンです。お菓子をくれなきゃいたずらですう!」
ああ、とアレルヤは合点がいった。
(そっか…今日って31日なんだ)
ここしばらくバタバタしていたから、すっかり忘れていた。
「そっか、ハロウィンか…懐かしいな」
「? 何がですか?」
「4年…もう5年かな。武力介入を行ってた頃もね、こうやってみんなでハロウィンを楽しんだんだ」

ちょうどその日はミッションもなくて、というか、前日まで宇宙でのミッションだったんで、クルー全員が
トレミーにいたんだ。
先頭に立ったのは主にふたり。特に片方はとにかくお祭り好きな部分があってね。
彼が言いだしたことに、もうひとりが面白がって乗っちゃった、てところかな。
でも、こんなイベント、楽しまないと損です。
先頭に立ったふたりもそう言ったよ。ミレイナ見たいにお菓子を貰いに行ったり貰われたり、そのあと
みんなで宴会して大騒ぎだし。「たまにはこんな日があってもいいよね」って、ほとんどのクルーは
結構楽しんでたんだ。
そうなんですか~。
うん。こんなことしてていいのかな、とは思ったけど、僕もやっぱり楽しかったよ。
ちなみにハプティズムさん、「先頭に立ったふたり」というのは、どなたのことですか?
ああ…提案に便乗したのが、君の前のオペレーターの、クリスティナ・シエラ。言いだしたのは…
まさかとは思いますが、ガンダムマイスターだったという、ストラトスさんのお兄さんですか?
………よくわかったね。
ストラトスさんがそんな顔してるです。乙女の勘大当たりです!
…いや、いくら双子でも…ああ、まあいいや。とにかく、楽しかったんだ。けど…。
けど…なんですか?
いや…刹那とティエリアは、かなり迷惑そうな顔してたんだよ。ふたりとも、そういうイベント事とは
無縁だからね。
えーっ!? アーデさんは去年もその前もミレイナにお菓子くれたですよ!?
えっ!? うそ!!?
ほんとです! 去年はビスケット詰め合わせ、その前はメイプルスコーンだったです!
ティエリアが!? ………そうか、ティエリアが…。
イベントと無縁なんて、信じられないですぅ…。
僕は君にお菓子あげたってことが信じられないけどね…。けど、それくらい今と前じゃ違うんだよ。
ティエリアはもちろん、刹那もね。

「ああ、ごめんね長々と」
「そんなことないです。いろいろ聞けて楽しかったです!」
ミレイナの満面の笑顔に、アレルヤは先程までの鬱々とした感情が、ほんの少し軽くなったのを
自覚した。ミレイナといろいろ話せたおかげで、多少なりとも気晴らしができたのかもしれない。
「ええと、お菓子だったよね。ごめん、何もないんだよ」
「ないですか? だったらいたずらです!」
「うん、わかった」
(でもなにするんだろう?)
目をつぶってくれと言われ、言われたとおりに瞼を閉じる。なにやら前髪をいじられているようだ。
そして終わったのか、目を開けてくれと言われてその通りにすると、目の前にはカメラを構えた
ミレイナの姿。そのままシャッターが切られる。
「かわいくできたですよ、ハプティズムさん!」
端末に落とされた画像には、前髪を赤い玉飾りのついたヘアゴムでマルチーズのようにくくられた
アレルヤの姿。性格はいたって温厚といっても、マイスターの中では一番ガタイがいい彼の
マルチーズ・ヘアーは、なんともシュールだ。
「えっと…これが、いたずら?」
「はいです」
意外と軽いいたずらで、アレルヤは少し拍子抜けした。ちなみにと見せてくれたスメラギの画像も、
これまたかわいくデコレーションされている。
「僕とスメラギさんのほかには、誰のところ行って来たんだい?」
「クロスロードさんのところです。残念ながらいたずらはできませんでしたが、かぼちゃプリンをもらった
です! あ、冷蔵庫に人数分あるので、よかったらひとつずつどうぞとクロスロードさんから伝言です」
え、じゃあそれをミレイナにあげればいたずらされなかったってこと?
そういうことは早く言ってくれ、とアレルヤは内心で突っ込んだが、しかしそれでは沙慈青年の好意を
無駄にしてしまう。そうしないためにも、ここはおとなしくいたずらされて正解だったのだ。
「それではハプティズムさん、このマルチーズ画像は、トレミーの皆さんに見せておくです!」
「…え?」
一瞬何を言われたのかわからないまま、「それではハッピー・ハロウィンです~」と言い残して、
ミレイナは展望室を出ていく。固まっていたアレルヤは、数秒遅れて事態を把握した。
まさか、「髪をいじってみんなに見せびらかす」までがいたずらだったのかい!?
「み、ミレイナ!」
いくらなんでもあんな画像を誰かに見られるのは恥ずかしい。特に、マリーには絶対に見せられない。
すぐに彼女を止めなければ。
しかし、展望室を出てふたつ目に角を曲がろうとした時。
誰かが曲がってきたところを鉢合わせした。アレルヤがギリギリのところで踏みとどまったため、
衝突は無事回避される。
角を曲がって来たのは。
「あ…」
「…貴様か………?」
マリー…もとい、ソーマ。その場に気まずい空気(アレルヤのみ)が走る。
アレルヤは視線を泳がせ会話を探したが、ふと、ソーマの視線がアレルヤの頭に
固定されていることに気がついた。
「あ、あの……なにか、ついてる?」
小さな呟きに、ソーマは答えない。しかし数秒ののち、ふっと、嘲笑のような笑みを浮かべた。
「なかなか似合っているじゃないか」
意味がわからず呼び止めようとしたアレルヤの横を通り過ぎ、去っていく。
すれ違いざま、こんな一言を残して。

「貴様にそんな趣味があるとは思っていなかったぞ、マルチーズ男」


ミレイナを追いかけることで頭がいっぱいで、アレルヤは忘れていた。
自分が、ミレイナにいたずらされたままの姿だということに。

「ハレルヤ…僕は憂鬱だよ…」

しばらくの間通路の片隅で、落ち込むアレルヤの姿があったとか。





あとがき
いじってみたかったんだよ。ごめんアレルヤ☆

2009/10/28 22:09 |おりだぶ小説COMMENT(0)TRACKBACK(0)  

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